思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

9人の翻訳家

☆☆☆☆

ダヴィンチ・コード』か同じ作者の作品で実際にあったことから着想を得たらしい。
フランス発の世界的ベストセラー『デュダリス』の最新3巻の翻訳のため、9カ国語の翻訳家をフランスの某所に集め、外界との通信・連絡手段を経った厳戒・缶詰状態で作業させる。
まさに現代においてリアルに「嵐の山荘」を現出させるには最適な環境といえる。
そこで起こるのは、連続殺人ならぬ、原稿の流出及びそれを人質的に用いた脅迫事件。
脅迫された出版社社長は誰が犯人なのか、絶対権力を武器にしたサスペンスが始まる。
テーマがテーマなので、本好き、就中海外のベストセラー好きには楽しめる内容といえる。

ユーチューバー「ゆっこロードショー」でどんでん返し映画のベスト3として紹介されていたので観たが、期待が大きすぎたか。

以下、ネタバレ

もちろん、途中からの多重どんでん返しは見どころだが、最後にもう一回、大どんでん返しがあると思っていたら、そのまま終わったのでがっかりした(^_^;)
最も効果的だったのは、社長が刑務所での面会に来ていたのは誰か? と言う序盤からの引っ張りの正体がエドワード・ノートン似の若手イギリス翻訳家で、と思わせて、実は社長こそ囚人、と言うのを1分くらいの間に畳み込んだところ。
実はそれもフェイクで、社長は警察とグルで服の内側にマイクを仕掛けていた、と言うのもある。
終盤に語られる社長のカバンを電車内で盗む、と言うのもいかにも盛り上げるためのサスペンス、と言う展開ばかりで、この辺からちょっと微妙な空気が・・・(^_^;) 日本のゼロックスらしいコピー機が優秀だ、と言うのが本作を観た誰もが印象に残るところ。もし協賛しているとしたら、最高のステマ(PR効果)だろう。

さらにネタバレ

そもそも、イギリス人が、社長への復讐のためとはいえ、わざわざ外国語(フランス語)で世界的なベストセラーになるほどの名文を書けるものだろうか? 動機や手段以前に、そこが最大の瑕疵だろう。