思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ガンダム0080

1話−3話
☆☆★

ほぼ30年ぶりに観る。
あくまで私的な感想としては「ドラえもんみたいな子供騙しアニメだ」というもの。
子供キャラの声を子供があてている、というだけでもうダメ(^^;) よっぽど天才的な子役ならともかく。声優は、実写の子役よりはるかに必要な演技力レベルが高いのだ。基本的に子供が出てくる作品は嫌いなので、子供が好奇心の赴くままに行動して事態をややこしくする、という展開じたいがイライラしっぱなしなのだ(´Д`)

以下は、ある程度客観的な視点。
モビルスーツ戦の描写だけは現在でも観る価値があるもの。特に、宇宙空間で影を真っ黒にしているガンダムアニメはこれ以外ないのでは?
本作の評価において、テレビでも映画でもないビデオ作品であることよりも、初の富野監督以外のガンダムアニメであること、1年戦争もののリファインという意味においても、『逆襲のシャア』の後、『センチネル』前、という位置付けは外せない要素。
非富野、ある意味では外伝以前の邪道になりそうな体裁なので、普通の商売人(大人の事情に素直に従う)なら、バトルシーン満載で、MSVはじめモビルスーツがバンバン出てくるものにするのが安パイなのだが、本作は正反対の道を取った。ある意味においては、本作以上に「ハードでリアル」なガンダムアニメは未だに存在してないと言っていい。作戦で民間船に偽装するだけでなく、攻撃を受けた偽装のために死体に宇宙服を着せて、フロントガラス越しに銃を撃ち込んだり、墜落したザクに触ったアルが「熱い」と言うあたりはニヤリとさせられる好演出。ただ私的には、一般市民のドラマというのがリアル過ぎて地味にしか見えないのだが……。
主人公は、中立コロニー・サイド6にすむ一般市民の子供アル。サイド6に紛れ込んだザクのパイロットと接触したことから、戦争の現実、その一端に関わることになる。
……というのが一般的な解説。だが、現実的に考えれば、アルの行為は現在でも発展途上国の紛争地域で問題になっている少年兵、あるいはゲリラ、スパイのそれである。特に、ジオンのスパイ行為を働いているのは言い逃れしようがなく、少なくとも連邦軍に見つかれば、拷問、射殺されても国際法上問題ない行為だ。そこは、中立コロニーということで、ギリギリ回避しているわけだが、『ファーストガンダム』では、領海内での発砲すらできなかったのに、バリバリ交戦している、というのはちと言い逃れ的に厳しい。
あと、やっぱり気になる人種問題。アルの両親はどちらも白人、あるいは母親はラテン系って感じなのに、アルは黒人系。百歩譲って、説明されないだけで養子だとしても、警察にバーニィと兄弟だと信じさせるのは無理筋すぎる。

技術論的には、まず音楽がイマイチ。主題歌はオープニングがエンディングなみに地味(エンディングは輪をかけて地味)。劇伴も、ショボい上に気が抜けた感じで、合ってないと思う。
作画も、『ファーストガンダム』ではファン筆頭と言え、小説版では挿絵も描いている美樹本さんがキャラデザインというのが当時は感無量だったわけだが、少なくとも第一話では、活かし方がわかっていない。根本的に作画崩壊手前で、そもそも表情に乏しい上に、セリフと表情が合っていない。これは2話では完全に解消されるが、作画監督が後に『0083』のキャラデザも担当する天才・川元利浩さんであるとわかって納得。
1話ずつの販売だから仕方ないのかもしれないが、各話ラストが、露骨にヒキのためだけなのも萎えるところ。