思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

空母いぶき13

かわぐちかいじ
☆☆☆☆
小学館

堂々たる完結、と言って良いのではないだろうか。
戦闘イコール戦争だと思い込んでいる日本人に、戦争ではない局地戦の在り方を具体的に見せた、という意義は大きい。
もちろん、最後に秋津艦長が敵空母に乗り込むなど、劇画的すぎる展開もあるが、そこはマンガだから。
終盤になるにつれて、二人の顔が海江田と深町という、かわぐちかいじキャラの主役に近くなったのと面白いところ。それだけ乗ってきたというところか。
ネットの感想には打ち切り、なんてのもあったが、そんなことはない。むしろ戦闘が終結してからの、与那国、石垣の描き方は、忘れていた、カメラマンなどがしっかり役割を持っていて、その伏線回収の鮮かさは、『沈黙の艦隊』よりをうまいくらい。ラストへの、ドミノを何列も同時に倒すような風呂敷の畳み方は、大作映画を観ているようだった。そのクライマックスが、作品序盤にもあった落下傘部隊の降下シーン。それが伏線というか、対をなして、作品全体の構成を引き締めている。、