☆☆☆★
耽美系ホラー。
吸血鬼ものだが、男社会だった吸血鬼結社に、事故的に紛れ込んだ主人公の母親。結社から追放された彼女は、悲しみから、孤児院にいた娘を吸血鬼にする。
その後は、水商売で200年もの年月をやりくりしてきた、ある意味では、バイタリティある女性だが、逆に子離れできない。
そう、本作の物語的なテーマは、母親の子離れなのだ。
吸血鬼ものとしては、親指の爪が必要に応じて鍵爪になり、刺した傷口から口で血を吸ったり、爪じたいでも血を吸えるようだ。全体に、もしかしたら『吸血姫美夕』の影響があるかも。
本作のキモは、2、3回出てくる焼死体や、切り株描写もさることながら、血のリアルさにある。日本でよくある朱色っぽいやつではなくらしっかり濁った紅色で、怪我にしろ、吸うための切り傷にしろ、とにかく痛そうなのだ。
ちなみに、ビザンチウムとは、本作の舞台となるホテルの名前だが、ビザンツ帝国から生きている、という意味もあるのかも。200年とは符号しないが、吸血鬼がそのころからいる、ということかも。