思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ハッピー・デス・デイ 2U

☆☆☆☆★

そこまでは期待してなかったが、予想以上の面白さ。家で観ていると、普通は途中で区切るのだが、一気に観た映画は久しぶり。映画としてはともかく、続編としては完璧じゃないか?!
前作の設定を変更せず、きせずして存在した設定や描写を、伏線として取り込んで、回収する。おまけに、ジャンルもちょっとだけずらすことで、マンネリや観客の展開先読みも防いでいる。

最初は、前作のお笑い要因のザコキャラだった、毎朝主人公のいる部屋に帰ってくる金髪のルームメイト(芸人キングコングの梶原みたいな顔の人)が殺されてループするので、今回はこいつが主役? と思いきや、3回目からは前作の主人公がループする羽目になる、という外し方も上手い!
ループする理由が、学生による実験のせい、というのも『リング』に対する続編『らせん』を連想させる。
そこから、その機械を使えばループを抜け出せることが期待されて、その学生たちと協力して、悪戦苦闘する。そのなかで、機械のアルゴリズム(プログラム)を完成させるため、可能性を潰す必要があるのだが、その結果は記録できない。そのため、主人公が馬鹿なりに、文字通り必死で(何回も死ぬことで)記憶、潰して行く、という展開は、当然予想されるので、意外ではないが、ご機嫌な歌ものと共に、主人公が陽気に自殺し続けるシークエンスが楽しい。しかも、それだけではなく、さりげなく、ループする度に身体が弱って行く、タイムリミットもの要素も入れているのがこれまた上手い。前作では、主人公の気力がなくなる、というだけだったが、続編である本作には、違う要素を持ってきているのだ。
ドラマ的にも、パラレルワールド設定を取り込んだことで、前作では主人公のキャラの深みを出すためだけにあったと思われた、母親を小さい時に亡くしていた、という世界ではなく、今の世界線には母親がおり、ループを解除すると、母親を失う、という主人公に選択を強いる、ドラマ的な山場も生まれる。それに加えて、この世界では、前作では恋人になった主人公の彼氏が、ダイエット会?のリーダーである意識高い系女と付き合っていて、母親か彼氏か、という二者択一にもなっている。
そんな困難を経て、ようやくプログラムが完成。これで終わりかと思いきや、最初から出ていた学部長に実験装置がとうとう没収され、それを取り返す、というミッションまで生まれる。このへんのノリは『カメラを止めるな!』という、ジュヴナイルもののクライマックスによくある展開で、正直、微妙ではあるが、それまでの勢いがあるので、なんとか萎えずに最後まで見切れる。
脚本・設定的に上手いのは、前作では、単に時間を知らせるイベントだと思われた、夜の停電に重要な意味を持たせたことだろう。
ラストカットのセリフが「うんこ漏れた」というのにはB級の王道狙いすぎ、と思ったが、エンドタイトルの後にマーベル的なエピローグが。あからさまに、次作の予告編で、今度は意識高い系女がループする、となっているが、これは完全にパロディで、実現するとは殆ど思ってないだろうなぁ。