思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『本当は間違っている心理学の話 50の俗説の正体を暴く』
スコット・O・リリエンフェルド
&スティーヴン・ジェイ・リン
&ジョン・ラッシオ
&バリー・L・バイアースタイン著/
八田武志&戸田山和久&唐沢穣監訳
☆☆☆★
化学同人

タイトル通りだが、同然、「アメリカにおける」という大前提がある。日本ではピンとこないものも多い。科学的普遍性がない俗説なので当たり前だが。
菊池誠氏の本と同じスタンスだが、本書の特徴は、解説にあるように、専門の心療学者が書き、しかもそれぞれについて20くらいの論文から、反証の根拠を挙げていること。参考文献は50ページ、原著で64ページにもなるという。
巻末には、さらに約50くらいの俗説についての一言反論(科学的事実)が載っているサービスっぷり。

「人のネガティブな感情(略)は余命とまったく関係がない。(略)ポジティブな態度でガンに対抗できるとはいえないのです。」
このぶんだと、笑いが病気にならない、ってのも(言うまでもなく)眉唾だなぁ……。

「ジェフリー・ダーマー(多くの被害者を殺して食べた)」
この事件は調べてみたい。

アメリカ合衆国では、自白を引き出すために、合法的に嘘をつき、情報をねじ曲げることができます。」
これは凄いなぁ……。だからこそ黙秘権の通知と弁護士の立ち会いがいるのか。

「ブレイン・ストーミングで生み出されたアイディアの質は個人により生み出されたアイディアの質よりも劣る」

「Gスポットの存在についての科学的証拠は皆無である。」

「脳波でアルファ波が出ていることはリラックスしていることとは関係ない。」