思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

コロンボ 殺人処方箋』
☆☆☆★
愛人と共謀してアリバイを作り、妻を殺した精神科医
次第に手がかりを揃えて行く、という動きは少なく、会話で心理的に追い詰めて行く、という展開。容疑者として肉薄する精神科医コロンボの作戦(間抜けに偽装して油断させる)がバレバレ、というか、視聴者に解説してくれるのが見逃せないポイントだ。
そんな犯人の更に上を行かねばならないせいか、今回コロンボが張る罠はかなり意地悪い。というより、詐欺同然で、道義的には(後で知ったが、米国では合法)アウトである(^_^;)そこまでやるほど極悪非道か、というとそうでもないし。逮捕するために、愛人と結婚する気がない、という展開にしただけでは?
ドッキリがバレた後のスピーディーな幕切れは良いが……。


パッセンジャー
☆☆☆☆
恒星間宇宙船で、冷凍睡眠中の一人が、事故で目覚めた。到着まで90年という状況下で、その男はどうしたか?
登場人物は二人プラス一名。途中で(かなり太った)モーフィアスが出てくる以外は、実質二人だけと言っても過言ではない。ただし、そのモーフィアスにしてから、特に出てくる必然性がない。主人公二人の人間関係がいい感じに整ったところで、事態進展の(文字通り)カギを渡す役目を終えたら、さっさと退場してしまうのだ。
ラストは、一見、ハッピーエンドっぽく華やかに見せているが、特に意味がない。ただし、そこは逆に大きな舞台の中では個人には意味が少ないことこそSFらしいので良し。
本作の目玉は、未来に作られた恒星間宇宙船の内部のデザインだ。視聴者の目に映るほぼ全てのものがスタイリッシュにデザインされ、映画としてのルックは実にクールと言える。何回も出てくるプールと水着も美しい。
21世紀の『2001年』ではあるのだが、構造的にはバーテンだけが話せる相手であるとか、キューブリックつながりで『シャイニング』にも似ているかも。
ただし、ハードSF的には明らかな嘘も知ってか知らずか、含まれている。1つは宇宙服のヘルメット内側にライトがあること。眩しいのは言うまでもなく、暗い外部に反射して外が全く見えまい(未来技術か?)。宇宙遊泳も、宇宙船が回転しているんだから、マグネットシューズが離れた途端、横に引っ張られるはず。
個人的に、ヒロインが美人に見えなかったのも、観続ける上で牽引力が低かった理由。ことに、化粧すると余計にブサイクになるって……(´д`)
一般向けだから敢えてだろうが、二人しかない状況で相思相愛になったなら、ベッドに限らず、どこであろうとエッチしまくるんじゃないかなぁ……。


『帝都探偵大戦』
☆☆☆
戦前、戦後に綺羅、星のごとく出現した名探偵たちが一堂に会して事件を解決する。煽りでは50人とあるが、3部構成の合計だし、『名探偵が多すぎる』のように推理合戦をするわけでもない。
とりあえず豪勢に見える、という意味で、仮面ライダー映画版で歴代ライダーが総登場する、お祭り的なものか。それよりも、巻末の、登場する名探偵とその作者の解説のほうがガイドブック的な意味で価値が高いかも(^_^;)何故なら、本作中では、無理やり一つの事件にまとめるためと、人数に比して尺が短いために彼らの個性、特徴があまり分からないのだ。