『黒面の狐』
☆☆☆
『如きもの』シリーズのような、怪奇ホラーミステリー。
朝鮮戦争前の、九州の炭坑で起こった不可思議事件を描く。
炭坑ならではの生活や、迷信などを紹介しつつ、その中での事件であるのが特徴。ただし、ツイストはあるものの弱めだし、衝撃も同様。
最大の問題は、主人公が炭坑にたどり着くまでの、満州での生活の描写が、全く無意味なこと。それがまだ、隠された史実を知ることができるならまだしも、極左反日とはいかないまでも、はっきりと自虐的なので始末に悪い(日本の真ん中は世界の左翼なので)。このへんはほとんど辻真先の大陸小説みたい。
黒面の狐 三津田 信三 文藝春秋 2016-09-13 |