『ドローン探偵と世界の終わりの館』早坂吝
☆☆☆☆
いかにも新本格らしい設定と、早坂吝らしいトリック。トリックそのものは、好きにはなれないが、動機と伏線はうまい。
ドローンにぶら下がって飛ぶ発育不全の二十歳前後の探偵。江戸川コナンや怪盗キッドもびっくりの設定である。しかしその能力は、プロローグで披露されるだけで、本編では発揮せず。ではどこが本作らしいのかといえば、主人公が骨折したため、ドローンのカメラから犯行に立ち会うことになる、ということ。犯行現場と探偵が隔てられるという設定は、『十角館の殺人』を彷彿する。
メイントリックじたいは、大きく言えば、『○○○○○○殺人事件』と似たタイプ。先に書いたように、それ自体は、意外ではあるが、「え〜(´Д`)」という方向。
それよりも、小説的脚色、余談だと思われた部分が、ほとんど伏線であった構成に感心した。
しかし、50年前かと思うようなカバーデザインはいかがなものか…。
ドローン探偵と世界の終わりの館 早坂 吝 文藝春秋 2017-07-12 |