思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

山田昭男『日本でいちばん社員のやる気がある会社』を読む

印象に残ったところ

「必ずひと工夫!他社と同じは勝負にならん」
「常に新しい提案を続けていくには、(略)仮に一つも売れないモノでも、それを企画して、商品化していくことは、少しもムダなことではない。」
「経営者か7選ぶとしたら「戦略」を選ぶべきだと思っている。「戦術」はやってはいけない。」
「「社員のやる気をいかに起こさせ、いかに高めるか」を考えるのが、社長のいちばん大切な仕事といえる。やる気を高めれば、会社というのはぜったいに回っていくというのが私の理論だ。」
「社員にやる気がないということの裏には“不満”がある。私は、その不満を一つひとつ消していくのが社長の仕事と思っている。」
「未来工業では、社員に会社もちの携帯電話は持たせない。(略)会社から社員の携帯電話に電話をしてはならない(略)。社員自身の携帯電話から会社に電話するのは構わないが、会社から電話すると電話代は会社もちになる。(略)ケチかもしれないが、経費削減するには、それぐらい徹底することが必要なのではないだろうか。」
「全体の需要より自社の供給のほうが少ないはずだ。その状況にある限り、それは不況でもなんでもない。自分のところの商品が売れないとすれば、よそに負けているだけだ。 負けているのは無能だからだ。不況と無能はまるっきり違う。無能だから工夫もできず、よそに負けているわけだ。(略)「差別化しなさい。商品も、売ることも、経営も差別化しなさい」」
「社長は、「これだけ売り上げなければ赤字になる」などと計算しているより、いかにして社員が100%の能力を発揮してくれるかということを考えるべきなのである。」


論理爆弾
☆☆

作者には何の責任もないが、本の宣伝に「タイトルの意味が明らかになる時の衝撃」的な惹句があったので期待して(わざわざシリーズの最初から)読んだのに、まさかの無関係とは(´Д`)
例によって
クローズドサークルものだが、特殊部隊の攻撃によってヘリが墜落して起こった崖崩れによるもの、というのがちょっと変わっている。その中で連続殺人が起きる。
字義通りのコンピューターの論理爆弾は、中盤から後半で仕掛けから犯人まで分かってしまい、村内の殺人事件とは何の関係もない(!)。これでシリーズの後の巻での伏線でないとしたらトンデモもいいところだ。

以下はネタバレ。

本作の犯人は結局、自分が死刑になりたいから、二人以上殺して捕まりたい、という無差別連続殺人(現実にいるから怖いが、逆に言えばフィクションならではの驚きもない)。
探偵としての推理・論理が通用しないから論理爆弾なのだ、ともとれるが、いかにも弱い。
どうせなら、犯人の論理に則って推理していくと、精神が破壊される、という狂気の論理を構築して欲しかった。