西内啓『人を動かす技術』
「相手のことを理解したうえで、相手が「そうそう」と共感したり納得したりするところから始まり、それを覆す驚きを与えることで、自分の目的とする変革へ導く提案を行う。これが魔法のようなコミュニケーションの本質です。」
「小さな疑問と大きな構造、その両者を常に意識し続けることが、わかりやすい文章を書くうえでたいへん重要になります」
『神は妄想である』リチャード・ドーキンス
☆☆☆★
キリスト教国家と言って過言ではない英米において、こういう本が出版され、(訳者あとがきによれば)しかもベストセラーになるというのがすごい。
本文だけで550ページにもなる大作で、これはあちこちから起こるであろう反論を封じるため、そしていろいろ方面でのエピソードを集めたことによるもの。
日本人なら、もっと完結に、十分の一くらいのボリュームで書ける内容なのだが…。少なくとも旧約聖書、新約聖書における矛盾のオンパレードはよく分かる。論理的に神の存在証明を一刀両断したり、道徳が聖書を根拠にして「いない」ことの事例は、痛快ですらある。
「仏教や儒教(略)は宗教ではまったくなく、むしろ倫理体系ないし人生哲学として扱うべきだという見方にも一理はある。」
「バートランド・ラッセルは、もし彼が死んで(略)なぜ神を信じなかったのか理由を知りたいと要求されたら、どう答えるのかという質問を受けた。「証拠が十分でなかったのですよ。神様、十分な証拠がなかったからですよ」」
「地球の軌道は(略)1月に太陽にもっとも近づき、7月にもっとも遠ざかる(略)もし、これを読んで驚いたとすれば、あなたは(略)北半球優越主義に毒されているのだ」
「胚(胎児)は苦しむだろうか(おそらく、神経系ができる以前に中絶されればそうではないだろう)」
「デネットは『呪いを解く』」