思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

マイケル・アブラショフ著/吉越浩一郎訳『アメリカ海軍の「最優秀チーム」を育てあげた最強の指導者 マイケル・アブラショフ 部下を持つすべての人に役立つ 即戦力の人心術』

とある米海軍のミサイル艦を、最優秀に育てた艦長による、数々の事例を紹介しつつ、ビジネスにも通じる人の育て方を論じた本。
基本的には、部下を適切に褒める、目標と責任と自由を与える、というのが2本柱。まさにビジネスにも通じる基本、といえるだろう。

「私は目標を明確にし、それを行うだけの時間と設備を与え、部下がそれを正しく行うための適切な訓練を受けていることを確認しないかぎり、もう二度と命令を出すことはしないようにしようと、心に誓った。 それが、指示を出す際の最低限の条件なのである。」

「自由は組織に害となるか? 答えはその自由の質による。エゴをさらけ出す自由ではなく、チームの成果を上げる方法を提案する自由なら、組織にとって大きなプラスとなるのである。」

「今日のめまぐるしく変化する世界にあっては、本当に重要なもの以外、規則は“厳然たる法”としてではなく、“指針”として扱われるべきである。 とはいえ、規則を守るべきか、破るべきか、どちらとも言えない状況もある。そのような状況があるからこそ、中間管理職が必要なのだ。」

「私は、一見、突拍子もないと思えるアイデアに取り組むことを奨励し、「失敗する自由」を称える雰囲気を生み出そうと懸命に努力した。問題を解決しようとしたり目的を達成しようとしている部下を非難したことは、ただの一度もなかった。」

「指揮官になったとき、私に3つの最優先事項があった。すなわち、食事をおいしくすること、訓練の質をよくすること、毎年できるだけ多くに人間を昇進させることだった。食事を最優先するのを笑う者もいるかもしれないが、それが士気を高め、われわれの艦を変容させるプロセスを始めるのに役立ったということは紛れもない事実なのだ。」

「社員が自分の職場を友人に見せたくなるような場所だと考えるようになれば、どんなにすばらしいだろう。」

下記は、訳者による解説から。

「会議の場では、“文殊の知恵を集める”ための話し合いはしない。その代わり各担当者に「結論」だけを持ってきてもらう。その内容を判断し、次の課題をデッドラインつきで与え、また結論だけを出させる、ということを繰り返すのである。」

即戦力の人心術 部下を持つすべての人に役立つ即戦力の人心術 部下を持つすべての人に役立つ
マイケル アブラショフ Michael Abrashoff

三笠書房 2008-09