思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ファクトリーズ 2012

☆☆☆☆

当時、店頭で気にはなっていたが、中身が分からなかったので買えなかったもの。中古M G誌の紹介で、読みたくなった。アマゾンにはあったが、価格が1万5千円とか。なんとか安いやつを探して入手。
読んでみると、ガレージキットのガイドブック。完成見本と原型師のコメントがメイン。味も素気もない四面図的な全身写真が並ぶ、文字通りのカタログ形式。カンなんかは、形状把握がしづらいデザインなので、それがありがたかったりする。逆に、エイトールは、真正面がダサいんだよなぁ……。
半分、天才・谷明氏のとくしゅあみたいなところもある。作品も、エンゲージSR 4、エイトール・スクリティ、そしてエンシー!
何故かエンシーだけ後ろからの写真がないのは何故?
何故と言えば、何故かスクリティとエンシーはパーツ一覧と組み立て説明書が載っている。特に説明がないのは、本書恒例だからなのかもしれない。パーツ分割や、組み合わせを見てほしい、という編集意図なのか? エンシーなどは、ここから背面を読み解くしかない。
谷明特集なので(?)大御所原型師・生嶋氏との対談も掲載。これがまた興味深いもので、原型師デビューから、細部の作り方まで語られている。谷氏にして生嶋氏から気付かされることもあったり。
これまた何故か載っている、ガイアノーツ創世記も模型業界メーカー誕生秘録として読み応えがある。
写真ばかりのスカスカの内容だったらどうしようとおもったが、ファイフマスターのファン、メカ造形に関心のある人なら値段ぶんの満足がある一冊だった。
興味深いのが、これまた谷明原型のヤクトミラージュを新人(?)モデラーが組んだら? という記事。製作記事と完成形を合わせて、そして谷氏自身による完成見本を比較すると、新人の方ははっきりとダサダサのプロポーションなのだ。まるで別冊『センチネル』掲載の、フルスクラッチ1/144Sガンダムの背面写真の初期と後期、くらい違う。それだけガレージ(キャスト)キットの製作が難しいことが分かるのだ。まあ、ガレキの中でも最高クラスにパーツが多い難物キットであることも大きな理由なのだが・・・。

メイン・テーマ

☆★
森田芳光監督映画は初めてかな? 少なくとも、意識して観たことはなかった。完全に、薬師丸ひろ子のアイドル映画。
最初にナンパされる野村宏伸とのロードムービーなのかと思いきや、薬師丸ひろ子のほうは元教師に不倫片思いで、野村宏伸のほうは、沖縄のあまり冴えないジャスシンガー桃井かおりとくっつくかどうか? という反則四角関係。
最後には当然、薬師丸ひろ子野村宏伸がくっつくのだが、一時は完全に拒否したのを撤回する理由もわからなければ、その後にホテルに行くまでの、『うる星やつら2』的な不条理状況など、まともに誰かの登場人物に感情移入する映画ではない(^^;)
私的には、薬師丸ひろ子が可愛いとら思えなかったのが厳しかった。アイドル映画で、主役が可愛いと思えないのは致命的(^^;)演出・撮影・照明の問題なのか、単なる私の好みの問題なのか……。
タイトルの意味も分からん(´Д`)

汎虚学研究会




竹本健治
☆☆☆☆
講談社ノベルス

『闇の中の赤い馬』☆☆☆★
唯一のミステリ中編。主人公が見る悪夢に登場するのが赤い馬。理由としてはよくある島田荘司的、というより古典的な探偵小説の趣(理由)である。
密室で焼け死んだ理由は、ちょっと科学的にも、ビジュアル的にも、動機的にも、ありえないんじゃないかなぁ……。いかにも新本格的なバカバカしさというか……。
『開かずのドア』☆☆★
そこから幽霊女が出没するが、特意外で納得ゆく理由もなく。
『世界征服同好会』☆☆☆★
学校の図書館に眠る同人誌や、映画フィルムに残された天才は、どこへ?
『ずぶ濡れの月光の下』☆☆
トンボを捕まえるのに、指をぐるぐる回していたら、首が落ちて……というホラー。
『個体発生は系統発生を繰り返す』☆
幻想っぽい純小説??

バスタード!24

萩原一至
☆☆☆★
集英社ジャンプコミックス

ダーク・シュナイダーと悪魔との怪獣バトルと、シーラ姫の元に亜人類が集結するのが並行して描かれる。特に後者は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の影響大。
先にシーラ姫と書いたが、最初は誰かわからなかった。昔の、『オレンジロード』的な画風が可愛かったのに、今回の絵柄では全く萌えないなぁ……(´Д`)
怪獣バトルは、構図も作画も素晴らしいのだが、描き込みと、CGによるエフェクトが緻密すぎて、逆に迫力という点では平板に見えてしまっているのが残念。

ブルーサンダー

☆☆☆★

押井守監督の評に押されて再見。確かに、クライマックスのヘリ対決は実物を市街でとばしている迫力が凄いが、それ以外は80年代の陰謀ものらしいトンデモ展開で、☆ひとつ減点。
まずは主人公がベトナム戦争のトラウマを抱えているのはいいとして、一般市民を盗み見するわ、カミさんは『ポニョ』のママさんばりの乱暴ドライバーだわ、あんまり感情移入できない。もちろん、この洞察癖が、後半の、陰謀を暴くのに役立つのだが……。
主人公のライバルというか、妨害者である元相棒の軍人も、どこからどう見ても悪人顔、という人物(^^;)それが、ラストでは、武装付きとはいえ、小型ヘリでブルーサンダーと一騎討ち、というから頑張っている。
その前にF 16と戦うも、遠距離からのミサイルが交わされ、結局やられるという流れは、押井守監督が実写『パトレイバー 首都決戦』でオマージュしたのかな?
確かに、ラストバトルは、川をはじめ、市街地を縦横に飛ぶのは、燃えるものがあった。
肝心のブルーサンダーのデザインは、以前はキャノピーが大きすぎるのがダサいと思っていたのだが、今回はそこまで気にはならなかった(ロングショットではそうだが、寄ると、やっぱり頭でっかちだ)。
あり得ない上に、リアルじゃない超装備については、エアーウルフナイトライダーと同じなので、まあ、当時の流行りというところか。
そもそも、機体は黒いのに、なんでブラックサンダーじゃないの??

アドラー流 リーダーの伝え方

岩井俊憲『「勇気づけ」でやる気を引き出す! アドラー流 リーダーの伝え方』を読む

印象に残ったところ

「「目的」は「何のために?」、「目標」は「どこに向かって?」(略)目的を先に決めて、その目的を具体化するために、目標設定が必要になってくるのです。」

「まず、全体像を見渡して、それから細部を見る。そうすることで、きっとあなたのコミュニケーションはよりよいほうへ変わっていくでしょう。」

「相互尊敬・相互信頼が成り立つためには、リーダー側が、人間関係をよりよくしようと決意し、のり先に、より多く、部下を尊敬・信頼しなければ成り立ちません。」

「行為に対して行われる「勇気づけ」は、自分の行為を見てもらえた、認めてもらえたと思うことができる分、自信や自己肯定につながります。」

「問題行動を起こす人に遭遇したら、「この行動の目的は何だろう?」「何のためにこんなことをしたのだろう?」と問うてみてください。「なぜ?」では見えてこなかった対応策が、自然と浮かび上がってくるはずです。」

「勇気づけには5つの技術があり(略)
1 感謝を表明する(略)
2 ヨイ出しをする(略)
3 聴き上手に徹する(略)
4 相手の進歩・成長を認める(略)
5 失敗を許容する」

「生まれた国、時代、性別、家庭環境、生育環境、兄弟姉妹、そして身体的障害など、自分をつくるときに「影響」を与える要因はあります。でも、それは「影響因」であって、「決定因」ではありません。決定するのは自分自身であるのです。」

「自分流のとくにゆがんだ主観的なものの見方(略)
・決めつけ
 可能性にすぎないものを自分で勝手に決めつけてしまう。(略)
・誇張(略)
・過度の一般化
 一部うまくいかないことがあると、別のこともうまくいかないと思い込む。(略)
・見落とし
 ある部分だけを切り取って、大事な側面を見落とす。(略)
・誤った価値観
 無価値で存在する意味がないなどととらえる。」

「コミュニケーションで重要なのは、相手のものの見方(メガネ)に関心を持つことです。一致させるのではなく、お互いに話し(聴き)合うようにしましょう。」

「頼まれていないのに助言やサポートをしない。」

真実

☆

是枝監督、そしてジュリエット・ビノシュがダブル主演(いちおうメイン主演のほうは、往年の名優カトリーヌ・ドヌーヴ?)ということで、期待したのだが……。
直前に観た『レッド・リーコン』がピントバリバリの超シャープな映像だったので、最初は家庭用ビデオで録ったのかと思ったくらい。もちろん、昔の映画風の狙いなんだろうけど。
物語も、自伝に嘘を書きまくるほど見栄っ張りの老女優である母親が、自分と向き合うまでの物語。ヨーロッパ映画のスタイルに合わせたのか、特に山場もドラマチックなことも、起こらない。しかも、『海街ダイアリー』とかにあった、特にどうってことない画面なのた、何故かひきこまれるものもなかった。海外映画の現場に負けたのかな?