思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

サロゲート


☆☆☆☆

変なタイトルで、『ナインスゲート』か『スターゲイト』みたいな、「ゲート(GATE)」の話しかと思ったら、アンドロイド型のアバターの作品内での普通名詞だった。
設定としては仮想世界(サイバーワールド)ものとしてよくあるが、それを実世界でやってしまったのが本作。『マトリックス』プラス『フリー•ガイ』と、自分の分身として生活を送るあたりは、SF小説『ゴーレム』(題名違うかも。デイヴィッド•プリンのミステリーSF)を連想した。
テーマ的なところでは、誰しも持っている理想の自分、または社会に対するペルソナを実体化したのがサロゲート。別に本人に似せなくてもいいので、仮想世界のアバターに近いが、物理世界の法則に縛られるのが最大の特徴。とは言え、ロボットならではの強化もされていて、『マトリックス』のエージェントばりの身体能力もあるる。
面白いのがその結果、町はマネキンみたいな人々が溢れることになる。また、日常の挙措も、ロボットらしく無駄な動きがないので、日本のリミテッド•アニメを実写化したような、マネキンが歩いていない時はピタリと静止しているような、不気味極まる世界になっているのだ。ちなみに、主人公のブルース•ウィリスのサロゲートは、髪がフサフサであることは言うまでもない。あと、『ソルジャーズ•アイランド』以来、妙に目につく細身のじいさんも、サロゲートの社長役で出ている。
もちろん、それに反抗する、生身の肉体でコミューンを作っているカルトっぽい人々もいるあたりも『マトリックス(2)』っぽい。
当然、主人公を中心に、多少美的な欠点があろうが、生身の方がいい、という展開になるのだが。
仮想世界でよくある設定を現実に持ち込んだ、ということ以外は、そんなに独特の作品ではないが、ロボットの充電ユニットがあちこちにあったり(なんかアイボを思わせる)細部まで凝った、そして何よりシュールで笑えるビジュアルは、一見の価値あり。
また、この手の超人的ジャンプ力なんかの表現はスーパーマンからマーベルに至るまで、たくさん観てきたが、今まで見た中で最も自然(物理法則に合致して)に超人的ジャンプを描いているのに驚嘆した。これを見るためだけでも価値がある。