思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『火の鳥(4)』

☆☆☆☆

鳳凰
小学生のころ、アニメ映画版を観たのは覚えているが、内容はほとんど忘れていた。
ラストから遡ってみれば、東大寺大仏の建立責任者たるエリート仏師の茜丸と、乞食坊主の我王との、対照的とも相似形ともいえる物語を描いたもの。
我王のほうは、生まれたばかりの時に、事故で片目片腕を失ったがために、村中からいじめにあっていた。少年時代にプッツンきて(表現が古いな(^^;))、村人をはじめら出会うもの片っ端から殺したり、盗んだりする。仏師茜丸の利き腕の筋を切ったのもこのころ。
なんやかんやで、双方とも、それぞれに僧の師匠を見つけて、仏師という道を進むことになる。
茜丸のほうは、鳳凰像をつくることを命じられたことから火の鳥を探す旅に出て、我王のほうは、(すぐに名前が出て来ないが)いわゆる放浪の僧侶/仏師をイメージさせる。
特に我王が仏道に目覚める前に、盗賊として非道の限りを尽くすのは、悪人正機たる仏道のある意味本質を描くため、敢えて感情移入を拒否するくらいまで酷く描かれている。
輪廻転生など、(二巻までしか読んでないので違ってるかもしれないが)『ブッダ』のエッセンスが詰まっているとも言えなくもない。