思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『歴群「図解」マスター 戦車』
☆☆☆☆

いわゆる「図解雑学」系の体裁だが、『萌えよ!戦車学校』なんかより(比較の対象がおかしい?)よほど、戦車について広く知ることができる。
昔の写真を除くとフルカラーなのも嬉しい。


「当時の日本陸軍は(略)想定される主戦場は大陸であり、装備劣弱ながら神出鬼没の歩兵を中心とした中国軍と戦うには(略)中国は橋梁や道路の事情が劣悪で、特に長雨後の泥濘地ともなれば、重い戦車では、いくら履帯走行といえども足を取られて行動不能になる恐れがあった。」
日本陸軍の中戦車志向にはこういう理由があったのか。


「より重い砲弾を、より発射薬を多くして、より長砲身から撃ち出すと、砲弾はいっそう長時間、砲身内で発射薬の圧力を受けて加速されるため高速が得られる。」
長い砲身は命中精度ためじゃなかったのか…(それもあるのかもしれないが)。

「鋳造装甲(略)流し込み成形なので装甲厚がアバウトになるのと、強度面で均質圧延装甲鋼板や表面硬化装甲鋼板よりも劣る」

ティーガーパンターの部隊では、戦闘状態が数日間続くと駆動系の故障が続出し、戦闘による損傷車を除いた稼働率が30%前後まで低下することも珍しくなかった。
当時のドイツ軍戦車兵の練度は世界最高峰にあり、故障の予兆も素早く察知でき、完全に故障する前に自分たちで対処する能力も高かった。さらに同軍の夜戦戦車整備隊は世界最高の実力を備えていたとされる。しかし、こういった整備体制下にあっても、実戦の酷使によってこの程度の稼働率になってしまうのだ。」

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白石 光

学研パブリッシング 2013-10-15