思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ハドソン川の奇跡

☆☆☆★

原題は『Suly』。タイトルロゴも地味すぎて、主演俳優の名前かと思ったくらいだ(^^;)サリーという、機長の名前が原題になっている。
実話ベースの映画。
てっきり有名な事件を淡々と描く乗り物パニックかと思っていたら、事故の後から物語が始まった。
本作は、機長が事故調査委員会に「空港に着陸できたのに、川上着陸をして乗客を危険にさらしたのではないか?」という疑義をかけられる法定ものなのだ。実際の法廷シーンはクライマックスだけだが、そこまてまは機長のマスコミ攻勢や、心理的葛藤が描かれる。
川に不時着していなければ、ビル群に突っ込んでいた、という9,11あるいは乗り物パニック的な映像もしっかり、ご丁寧にも2, 3回流れる。
ただし、本作はCGがハリウッドにしてはチープなのが残念。敢えて乗り物パニック映画の定番演出を避けて、人間ドラマを淡々と描くという方針なので、よくできたテレビドラマ、という感じすらする。
盛り上げない、というのはクライマックスでも同じで、ドラマ的には最高潮となる、フライトシミュレータでの検証シーンでも、パイロットの後ろ姿しか写さないくらいなのだ。
ただ、映画的に、現実以上に過剰パニックを描かない、というのは好感が持てた。着水前にスチュワーデスが「頭を低く……」とひたすら繰り返すところとか。機長にしろ、全員がプロフェッショナル、というのは見るに堪えるものがある。
実話もののお約束として、エンドロールでインタビュー映像が流れる。