思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『スクランブル 復讐の戦闘機(フランカー)(下)』

夏見正隆
☆☆☆☆
徳間文庫

まずは巻末の書き下ろし、月刀の少年、というより青年時代を描いた番外編は、国防とは何の関係もない、アイドルもの。テレビ業界の闇が、現在の安全保障上のネックになっている、というリンクもないので、小説全般が好きな人でない限り、国際謀略ものだけを楽しんでいるような人には、読む必要ないかな。
この下巻本編は、ほぼ全編クライマックス。何段階もの構えの作戦が展開する、息をもつかせぬ展開。自衛隊法を遵守する、頭の固い上官及び政治家との駆け引きは、アメリカを始め、外国の国際謀略ものではあり得ない(無駄な)要素だよなぁ……(´Д`)
本シリーズは、あくまでも「現行法制度では、日本は外国(そして国内のテロリストと)の攻撃から、国民および国土の安全を守れない」ことを、具体例で指摘(糾弾?)することにある。まともに正義感のある登場人物たちに感情移入していたらストレスが溜まってしょうがない(^^;) 一歩引いて「こうなったら、こうなる(から、現状を変えなければならない)」と、冷静に理解しながら読もう。