思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『漢字は日本語である』小駒勝美
☆☆☆☆★
新潮新書

泣く子も黙る新潮社の校閲部の著者が書いた、漢字と日本語についての本。日本語または漢字に興味がある人なら、読まずにはおれないタイプの本であり、実際に中身も面白かった。
エピソードが紹介されているが、それまでの漢和辞典は、あくまで漢文を読むためのもので、日本文中の漢字を調べるには使いづらいものだった。それを、あくまでも現代日本人のために『新潮日本語漢字辞典』を作ったというから、読んでみたいではないか。

「意味を表す部分を部首にする」

「文部省が定めた「々」の正式な名称は「同の字点」。パソコンでも「どう」と打ち込んで変換すれば「々」が出てくる。もともとは「仝(どう)」という字が変化してできた記号であることから、この名称になった。」

「この二つの字は全く別の字である。
「斎」(略)この旧字は「齋」(略)「斉」のほうは(略)「齊」」

「戦前の新聞の見出しや、商店の看板を見ると、横書きの文字は右から左へと書かれている。(略)実はあれは、縦書きなのである。どんなに横長でも、縦書きなのだ。」

「五行とは「木、火、土、金、水」(略)季節は4つしかないので、五行と対応させると、要素が1つ余ってしまう。そこで、春夏秋冬それぞれの季節の間に「土用」という中間地帯を作り、ここを「土」に対応させた。(略)暦の上では、春と夏、秋と冬、冬と春の間にも土用があるのだ。」

「戦前は「薯」と書けば「馬鈴薯(ジャガイモ)」を指し、「藷」であれば「甘藷(サツマイモ)」だった。「芋」は「里芋」だけたったのである。」

東芝がわが国最初のワープロ「JWー10」を価格630万円で発売したのは78年である」

漢字は日本語である (新潮新書)漢字は日本語である (新潮新書)
小駒 勝美

新潮社 2008-03-01