思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

数学ガールの秘密のノート 行列が描くもの』結城浩
☆☆☆☆
ソフトバンククリエイティブ

まず驚いたのがあとがき。『数学ガール』と『数学ガール 秘密のノート』は別のシリーズだった!
それはどうでもいいとして……(^_^;)
無味乾燥だった前に読んだ参考書と異なり、行列を使うと、どんな数学的な現象が描けるのか、だいぶイメージできた。特に、後半の図形変換は面白く、パソコンの画像変形機能には間違いなく行列計算がなされているであろう事が推測できる。
ただし、相変わらず、微積分のように、その計算方法が生まれたきっかけについてははっきりしないまま。数学者のきまぐれ(オリジナルのパーティーゲームを創作するみたいに)を、無理矢理矛盾しない体系にでっち上げたようにしか思えないのだ。これがまた、画像変換するためにパソコンプログラマーが苦心して作り上げた、とかいうならまだ納得できるのだが(^_^;)
独自体系という点では、超ひも理論とかに近い?
まあ、小芝居的な舞台設定や萌え要素はスルーするとして。
行列式が0の場合、逆行列が存在しない。図形でいえば2次元図形(平面)が1次元(直線)または零次元(点)に収束する。これは元の情報が失われているので、どう変形(変換)しても元の図形には戻せない。これって、ブラックホールで情報が失われることを数学的に証明していないのだろうか?(物理的にはともかく)