思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『なぜ蚊は人を襲うのか』嘉糠洋陸
☆☆☆★
岩波書店

あとがきによれば、類書との重複を避けるため、蚊に刺されない方法などは敢えて省いたとのこと。そっちが知りたかったのになぁ……。もちろん、少しは載っているが。
本書では、生物学的な蚊の特徴と、それを研究する学者のドキュメントがメイン。アフリカでの、家内で200匹取れたり、蚊柱のエピソードなどは興味深い。

「蚊に対して(略)最初の気づきを与える役目を持つのが、二酸化炭素(略)無風で約十メートル前後の距離が、その効果の及ぶ範囲です。次いで、動物から発せられる匂いを主な頼りに、徐々に標的に近づいていきます。(略)最後はその生き物が出す熱を認め(略)皮膚に降り立ちます。(略)人間の汗が蚊にとって魅力的である」

「少なくとも蚊に刺されたくないのであれば、明るい色の服を着るべき」

「抗体は一時的で、しばらく蚊に刺されないでいると(略)痒くなるのです。(略)日本では夏にしか蚊に刺されませんから、翌年にはまたいちからやり直し」
蚊に刺されても痒くなくるには、一夏にどれだけ刺されようが元の木阿弥で、研究者のように年中刺されなければならないのだった(T_T)