『異種間通信』ジェニファー・フェナー・ウェルズ著/幹遙子訳
☆☆★
火星にある異星人の宇宙船に向けたNASAのミッション。そこで待ち受けるものは…。
映画『ミッション・トゥ・マーズ』や小説『第二の接触』みたいな話。いわゆるロズウェル事件を全肯定して、当時から火星の宇宙船が確認されていたこと、そして冒頭から火星到着直前、というスピーディーさがポイント。
ただし、スピーディーなのはファーストコンタクトまでで、その後は、精神感応・浸透系の接続なので、コンタクトを受け入れるまでの逡巡や、ただ一人接触された主人公を「こいつ頭おかしくなったんじゃない?」という同僚とのやりとりなどが終盤まで続く。
よく言えば『ソラリス』的なのだが、私的には『宇宙のランデブー2』以降のようなかったるさを禁じ得なかった。主人公の行動に対する周りのリアクションも、NASA的なリアリティとして十分アリなのだが……。
異種間通信 (ハヤカワ文庫SF) ジェニファー・フェナー ウェルズ Jennifer Foehner Wells 早川書房 2016-01-08 |