思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『戦国三好一族』今谷明
☆☆☆★

やや文章に小説的なところもあるので、気持ち読みやすい。ただし、似たような名前の人物ばかりなので人物把握が困難なのは相方(単に私=読者の勉強不足です)。

「権力者といえども、徳政令を出さなければ、徴兵もままならぬのが、畿内の実情なのだ。」

「こうして大永7年2月13日(略)京都の政治勢力は全くの全くの空白状態となり、ここに室町幕府の機能は一旦停止してしまったのである。」

「長隆・長政らは「毒を以て毒を制す」と称し、法華一揆の軍事力をして一向一揆に向かわせ(略)た。狂信者同士の争いとて、京都の郊外では、真宗村落のみならず洛外の賤民集落への無差別な焼き打ちが、町衆らの手によって行われ、民衆同士が殺りくし合うという、日本の民衆運動史上、かつてない悲惨な光景がくりひろげられた。」

「高屋城は(略)これほどの重要な戦国大名の遺跡が、国や府の史跡にすら指定されず、荒廃に委ねられているのは、大阪府には古代遺跡が余りに多く、中世の遺跡保存に殆ど手が回らないからと見られている。」

戦国 三好一族 天下に号令した戦国大名 (洋泉社MC新書)戦国 三好一族 天下に号令した戦国大名 (洋泉社MC新書)
今谷 明

洋泉社 2007-04


3巻に比べると、基本的には塗装(塗り重ねるだけ)で、全てを表現しているので、分かりやすい。いや、技術的に簡単だ、というわけではなく、あくまでもやっていることが理解しやすい、という意味。
塗装編といいつつ、キットの改造もしっかりしているのだが、解説面では塗装中心、という意味だろう。フィギュアのポージングなどは、明らかに「塗装」ではなく「改造」「ディテールアップ」の範疇の解説だが。
3巻よりも、上面・側面の原寸写真があり、クローズアップも多いので、そういう意味でも(高石技法・作品についての)入門編といえる。やはり1巻から読むのがオススメである。
巻末の土居氏との対談も、従来のベテランモデラーと新進の天才モデラー(アーティスト)との違い、という点において非常に興味深い。土居氏のいう、模型雑誌の読者がモデラーと批評家がイコールであるのに、純粋な鑑賞者が(AFVモデラーに限って?)ほとんどいない、という指摘が面白かった。私はほぼ純粋な鑑賞者だから。

戦車模型超級技術指南「塗装編」 (Master Piece collection)戦車模型超級技術指南「塗装編」 (Master Piece collection)
高石 誠

大日本絵画 2008-02


「出戻り」とあるが、表紙に書いてある通り、初心者から中級者までの全てのモデラーへの基本的な指南書となっている。
特に工具面の使い方ではなく、工作素材=パテから下地処理、塗装の方法などの詳しい使い方は、なかなか類書にはない。ポリパテとエポパテの加工方法を15ページに渡って解説してある本なんてなかなかない。
特に失敗例が豊富にあるなど、実験精神にあふれた記事作りは、現在まで続く大日本絵画模型誌の特徴といえる。筆ムラの実例写真とかも実にありがたい(?)。
20年前の本だが、現在でも十分実用に足る参考書である。

モデルテクニクス〈1〉 私立出戻りモケイ学園副読本プラモデル編モデルテクニクス〈1〉 私立出戻りモケイ学園副読本プラモデル編
出戻りモケイ学園講師陣

大日本絵画 1995-02