『鉄道会社はややこしい』所澤秀樹
☆☆☆★
本書は「乗り入れ」に焦点を絞って新書を一冊書いてしまった、というテツ本の中でもかなり限定された一冊。
「長距離列車の場合、その総責任者である車掌が途中でころころ変わっては、管理上も責任上も問題が多く」
この文章と直接関係ないが、これを読んで、車掌って、戦車で言うところの「車長」であり、船舶でいう「船長」の意味だったんだなあ…と今更ながらに気づいた(^_^;)
「人の動きが大して多くないところに無理矢理、新幹線をこしらえるのだから、それができてしまえば、並行する在来線などひとたまりもない。(略)奇策を編み出した。なんと、整備新幹線の開業時に、並行在来線をJRの経営から切り離す(略)地方自治体は、自ら第三セクターを設立し、並行在来線を引き受けるしか道は残されていないのである。」
ちなみに、相互直通といえば、地元の近くである「神戸高速鉄道」もしっかり解説されている。当初は第三セクターだったのだが、資本関係は意外とややこしかった。神鉄は元々(車両を見れば実は明らかなのだが)阪急傘下であったのだが、山陽は阪神と直通運転し、その阪神自体も阪急ホールディングスになったので、現在は阪急が神戸高速鉄道に駅管理業務を委託している、という形になっているそうだ。
鉄道会社はややこしい (光文社新書) 所澤 秀樹 光文社 2012-05-17 |