思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『危険な童話』読了

最高級のアオリ文句が裏表紙にある。
読み終えてみて、確かに派手さはないものの、堅実で面白い推理“小説”だ、と感じた。
ジャンル的にいえば「アリバイ崩し」ものに相当するのだろうが、
フーダニットであり、ホワイダニでもあり、ある種のミッシング・リンクものでもある。
メンバーが足で手がかりを集める、仮説を立てては崩されるという刑事もの面白さもあるし、
もちろん最後のどんでん返し/真相の衝撃もある。
様々な魅力を備えた、佳作であるのは間違いない。
小説として欲を言えば、実際的には全く登場しないある人物
(表サイトでは反転文字で書く予定)
の心情を描いてほしかった、
と思うのだが、そこまでやるとラストが冗長になるだろうから、仕方ないところか…。
小説的にも面白いからこそそこまで望んでしまう。

危険な童話危険な童話
土屋 隆夫

光文社 2002-04
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