思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

死神の棋譜

奥泉光
☆☆☆★
新潮社

将棋をテーマにしたミステリーということで、帯のJacquesともども本格ミステリ的どんでん返しを期待したのだが、やっぱり奥泉作品。幻想推理だった(^^;)
羽生善治をはじめ、実在の棋士の名前がたくさん出てくるが、だからって、本作にリアリティ(ホントかもしれないと勘違いする)を抱く人はいないだろう。
いちおうどんでん返しはあるので、ツイストのある骨太の小説としとの面白みはあるのだが。

以下、ネタバレ

詰めない詰将棋に、魔道将棋と昔の中将棋を組み合わせたあたりは面白いが、将棋盤の下(中)にまで刺したりというあたりから雲行きが怪しくなってくる。
結局は幻想の中に飲み込まれる、というホラー寄り幻想小説に落ち着く。やっぱり本格ミステリファンにはオススメできないなぁ……。