思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『小説家の作り方』
☆☆☆☆

新米ファンタジーノベル作家のもとに届いた初めてのファンレター。そこには「小説の書き方を教えて下さい」と書いてあった。
そこから美人生徒への個人レッスンが始まるのだが…。
中盤は小説の書き方、作家の創作過程を描いたエンターテイメント小説としてなかなか面白く読める。
中盤に至って、彼女の背後にはAIがいることが分かるに至って、物語は『ターミナル・エクスペリメント』ばりのSFへとシフトする。いつもの野崎作品らしくなってきたな…という感じだ。
そこからロボットを作って意識をダウンロードするあたりから、『神様のパズル』のような大風呂敷SFを感じさせる雰囲気。
ラストでもう一つ、AIに雇わて、指示通り行動していただけだと思われていた女生徒がロボットだというどんでん返し。そしてやっぱり主人公の小説が好きで、いちばん面白い小説が書きたい、というラストは、『アムリタ』などと比べると物足りないが、一般受けしそうなセンチな結末。