思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

司馬史観

坂の上の雲』にハマっている私だが、こういう本を読んだ。↓

「坂の上の雲」に隠された歴史の真実―明治と昭和の虚像と実像
福井 雄三

主婦の友インフォス情報社 2004-10
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要するに反論本だ。
柳田理科雄立花隆なんかのベストセラー著者にすでに出ているし、珍しいものではない。
この本によると、旅順攻略法は愚策ではなく、戦史上では成功法だとか、児玉源太郎は大して役に立っておらず、単に督促に行っただけ、ということが書かれている。
ただ、私にはこの本の著者の主張はそれほど納得できるものとは思えなかった。(著者の著書に馴染んでいないので人見知り、ということもあるだろうが)

そもそも、現在起こった事件ですら、知識や立場によって受け取り方は様々なのだ。
(たとえばアメリカの同時多発テロや、その報復のアメリカ攻撃ひとつにしても)
太平洋戦争の南京で虐殺があったかどうかですら肯定派と否定派があるのだ。
ましてや日露戦争時の見解の相違があるとてなんら不思議ではない。

著者は司馬氏が小説家であることを強調しているが(他の小説作品では好きなものがあると言っているが)、べつに歴史学者だから正しい見解がある、というものでもないことは井沢元彦の「逆説」シリーズや、渡部昇一氏の本を見れば分かることだし。

もっとも私はまだ日露戦争や戦史には素人なので、
これをきっかけにいろいろ読んでみようとは思っている。