思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ノー・マンズ・ランド 西部戦線

☆☆☆☆

どうも実話ベースらしい。原題も同じ。本当は副題のついていない方の『ノー・マンズ・ランド』を観るつもりだったんだけど、見事にしてやられた(^^;)
とは言え、本作は戦争映画として普通にしっかり作られた佳作である。
フランスの、外人部隊に応募した非白人(黒人でもない)が主人公、というところからして独特。中央線アジア人かな? という感じ。彼が体験する塹壕戦は、『彼らは生きていた』や『1941命をかけた伝令』『ワンダーウーマン』で描かれたよりも、リアリティがあった。
さっきまで話していた隣にいる人間が、何の前振れもなく銃で撃たれたりする。塹壕に入り込まれたり、手榴弾を切らして敵の陣地に入ったら、ナイフでの揉み合いだ。
ドイツ軍の使う毒ガスに対して、ゴーグルはともかく、ただの風邪マスクみたいなので呼吸をカバーできるというのは疑問だったけど。第二次大戦はともかく、第一次大戦の毒ガスは、まだそれくらいの危険度だったのかな。
当然ながら、第一次大戦なので、戦闘機も戦車も出てこない。

以下ネタバレ

アーサーは、生き延びはするものの、敵地でわずかに吸い込んだ毒ガスの影響なのか、戦後に戦地を再訪して花を手向けた後、亡くなってしまう。ラスト、死んだアーサーのカットに、ヒトラーの演説の音声だけが重なる演出は上手い。
さらに、エンドロールで、本作が実話ベースらしいことも驚き。すくなくともアーサーという名前の、こういう境遇の外人部隊の兵士はいたらしい。そういえば、大東亜戦争では、日本には欧米のような外人部隊はいなかったことからも、併合によって、同化政策で、ある種の差別のない待遇だったことがわかるね。