思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

サバカン

☆☆★

『さかなのこ』と並んで(同じく「さ」で始まるし)、内容がわからないタイトルなのに、近い時期に公開され、意外と評判がいい映画。
何かの略かと思ったら、ほんとに普通の鯖缶のこと。作家としてゴーストライターばかりで糊口を凌いでいる草薙剛が、ふと鯖缶を見て、昔を思い出す。本編は、少年時代の、一夏の思い出。
貧乏で、はみ出しものの男の子と、離れ小島にイルカを見に行く、という『スタンド•バイ•ミー』的な話。
途中で、不良に絡まれたり、溺れかけたりするが、ことごとく通りがかりの親切な人に助けられる。これまた『さかなのこ』同様、主人公に都合の良すぎる甘々世界だ。
小学生の子役の演技がうまい、というより気にならないのが最高の救い(^^;) うまいかどうかは知らんけど。でも、ちゃんと長崎弁は喋って欲しかったなぁ。なんか標準語っぽい。大人たちは、尾野真知子なんかはちゃんと長崎弁っぽかったが、他はバラバラ。まあ、長崎であることに特に意味はないので、それはそこまで減点要因ににはならないけど。
あと、草彅が、単なる客寄せパンダで、大人になってから回想する意味がない。自伝ならわかるけど。各所に入るモノローグが、テレビドラマみたい。原作小説があって、そのフレーズならまだ許せるが。

以下ネタバレ

いちばん納得いかなかったのがラスト。導入からして、もう死んでるのか、没交渉だから、サバ缶を見て少年時代の懐かしい思い出を想起するのであって、「今も友達だ」ってちょくちょく会ってるんじゃねぇよ! ツイストのためのツイストで、それまでの展開が全否定やんか!
肯定派の人は、どうしてこの布石をぶち壊すラストが許せるのか、理解に苦しむ。