思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

不気味なものの肌に触れる

☆☆★

濱口竜介監督の中編。脚本は別の人ということもあって、ちょっと濱口色は控えめ。特に、「演技」というキーワードは、本作からは直接浮かんでこない。
まず、冒頭をはじめ、執拗に描かれる主人公ともう一人の男との、半裸あるいは着服での、触れそうで触れないパントマイム的なスローな創作ダンス。てっきりホモを描いているのかと思ったら、そうでもない。
つるんでいる女友達との三角関係や、「近寄らないで」と振られたのに「どこまで近づいていい?」と実際の距離感を測るなど、サイコっぽいし。もちろん、最後に掌ごしにキスするという最接近イコール殺人という、結末への逆算なのだが。このへんのモチーフは『親密さ』の変奏曲ともいえる。