『A-10チーム 奪還せよ』☆☆★
なんか奇妙な経歴の小説。オリジナルは冷戦の真っ只中、80年にアメリカで書かれた国際謀略小説。2年後に新潮社から翻訳されたが、21世紀になってハヤカワ文庫に収められたのだ。
原題は『RECOVERY』で、要するに様々な理由で東ドイツに取り残されたアメリカ人を救出する。大抵がヘマをやらかした連中なので、文字通りリカバリー(修正、カバー)する特殊任務部隊のこと。
タイトルになっているA-10は、フィクションのF型で、なんと脳波によって即座に各種センサーの情報をキャッチし、操作する。サイコミュやん(^_^;) 『終戦のローレライ』とかね。それがソ連のミグ25編隊と互角に渡り合うのが中盤の見せ場だが、本筋は、東ドイツ国内に墜落した機体と、搭載されたシステムとパイロットを回収する工作員のカーチェイスを描くのが主題だ。邦題はちょっと詐欺的? 『奪還チーム A-10救出せよ』が適切じゃないか?
カー・アクションものとしては、フォード・フェアモントがどんな車なのか思い浮かべられるくらいの車好きじゃないと楽しくないかも(^_^;) 少なくとも日本人にはマイナーすぎる。てっきりピックアップ・トラックみたいなやつかと思ったら、日本で言えばトヨタ・カローラみたいなやつらしい。