思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

Q E D 優曇華の時

高田崇史
☆☆☆☆
講談社ノベルス

現代の殺人事件に関するパートは思い切ってスルー。
それでも、「安曇」の謎に関する歴史ミステリーとしては十二分に面白い。

以下、ネタバレ。

殺人事件の動機は、歴史の謎に関するところを捨象すれば、「歴史的由来のある劇を、アトラクション的に改変して良いか否かの争い」。

本作の歴史的謎はなかなかの大ネタ。
ここから、さらに核心に迫るネタバレ。

天皇家の血を受け継いでいる神功皇后と、海神である住吉大神−−竹内宿禰との間に誕生した応神天皇は、どうみても『女系天皇』だ。つまりわが国は、一千五百年以上もの遠い昔から『女系天皇』を戴いていたわけになる(略)わが国の天皇家を『神武天皇からの万世一系』と考えるならば、応神天皇の代から『女系天皇』に代わっていることを認めなくてはならない。また『女系天皇』の存在を、認めないというなら、今度は『神武天皇からの万世一系』という考えを諦めなくてはならない。(略)それを誤魔化し続けているから、話がおかしくなる。だから、神功皇后と竹内宿禰は架空の人物なのに、その皇子である応神天皇は実在していたというような、支離滅裂な話になってしまっているんです。」
最後のセンテンスは、誤解しやすい文章だが。