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本作はデルトロが主人公。思い返せば、前作はデルトロが主人公になるまでの物語であり、『暗殺者アレハンドロ プロローグ』とも言える内容。本作は『暗殺者アレハンドロ エピソード1』という感じ。
前作に倣うなら、アメリカによってライバルマフィアの仕業にみせかけて偽装誘拐されるマフィアの娘の視点で描いても良かったのだが、敢えてのデルトロ視点。
米国内での自爆テロの報復として、マフィアのボスの娘を誘拐し、なおかつそれを敵対組織の仕業と見せかけて紛争を惹起する作戦。これ、メキシコの紛争においては誘拐なんて日時茶飯事であることを知らないと、米国当局が人でなしなだけに思われるよなぁ……。
監督は『ブレードランナー2049』で忙しかったのか知らないが、交代。ただし、前作ほどの緊張感はないが、それでも普通に面白い。普通に景色を撮っているだけなのに格好いいのだ。『アサルトガールズ』と比べたら……(´Д`)
クライマックスでデルトロが処刑されるのだが、なんで誘拐して身代金を取るわけでもないのに頭に布を被せるのかなぁと思ってたら、実は頬っぺたを貫通しただけで死んでませんでした……って(´Д`) たしかに、死んだと思ったデルトロがモゴモゴ動き出すところは異常な執念や、そこから米軍が皆殺ししたトラックを見つけて街に戻る途中で、手榴弾で淡々と撃破するなど、ゴルゴ13かターミネーターか、というマシーンっぷり。
マシーンといえば、米軍のほうも負けておらず、デルトロを射ったグループをヘラから急襲した際に、トラックの荷台に乗っていた数人を立たせてから即射殺したのはギャグかと思うほどの非情さだ。過去から虐殺するやつらが、先に穴を掘らせたりする、面倒くさがりの手口だ(´Д`)酷い話だが。
本作で唯一のミスは、中盤で、逃げ出したマフィアの娘が、通りかかった車の運転手に襲われるのを、デルトロが、射殺した後のシーン。遠くに死体を捨てに行く時間もなかったのに、車が走り去ると、死体が(実は撃たれてからは一度も画面に映らないんだけど)消えていること。