思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『謎々 将棋・囲碁」

『謎々 将棋・囲碁
☆☆★
角川春樹事務所

『碁盤事件』新井素子
☆☆
人間ではない物が推理を語るというのは、宮部みゆき『長い殺人』で知っているので、別に珍しくもない。碁盤が、明らかな事故に見えるのに、自分が殺したと言い張るのが謎。ミステリー的には子ども向けレベル。


『三角文書』葉真中顕
☆☆
人類滅亡後に、
将棋の譜面を研究する、という設定は面白い。最初は楽譜ではないか? と勘違いするのも面白い。 だが、基本的に読書が知っていることを改めて書くだけなので、SFとしても、ミステリーとしても、センス・オブ・ワンダーがないのが致命的。

『十九路の地図』宮内悠介
☆☆★
植物人間になった囲碁名人が、囲碁の信号をきっかけに復帰する、という設定と、譜面いじめから不登校になった主人公の立ち直りを絡めた物語だが、子供向けドラマみたいで、説教臭すぎ。

『▲7五歩の悲願』深水黎一郎
☆☆
新井素子と似た作品かと思わせて……バカミス。作者の短編集で読んだかも。

『黒いすずらん』千澤のり子
☆☆
良くも悪くも短編らしいプロットの作品。祖父と祖母の違いや、好きか嫌いかなど、『十九路の地図』の裏返しのようだ。骨格そのものは、本書中、最もミステリ
しい。

『負ける』瀬名秀明
☆☆
作者らしく、人工知能が将棋で人間に勝つには……という話。小説及び情報密度は本書中で、最も濃い。ただ、テーマ的には飽きたよそろそろ、人工知能に勝つ人工知能の研究という、人工知能ロボコンみたいな話が読みたい。