『未来の回想』シギズムンド・クルジジャノフスキイ著/秋草俊一郎訳
☆☆★
松頼社
20世紀初頭のロシア作家。ということはつまりロシア革命を挟んでいるということ。
しかもタイムマシンもの。とはいえ、タイムパラドックスとか、歴史改変ではない。円城塔の思弁SFがもっとも近い雰囲気。あとは神林長平みたい。時間が一次元ではないのみならず、二次元、波紋のように広がるイメージは、ベイリー『時間衝突』のよう。
まあ、エンタメ的に面白いかと言えば、微妙なのだが…。解説にあるように、時間とは何か、という哲学的探求のきっかけとしては興味深い。
例えば、未来旅行をメチャクチャゆっくりすれば、時間停止になるんじゃないか、とか。多分時間停止を未来への時間旅行と捉えた作品はないはず。
未来の回想 シギズムンド・クルジジャノフスキイ 秋草 俊一郎 松籟社 2013-10-22 |