思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『十一番目の志士(上)』

天堂晋介なる男の生涯を描いた小説。いったい何者なのか分からぬまま読み進めると、どうやら『人斬り以蔵』などと同じく、幕末に活躍(?)した、ある種の暗殺者らしい。生まれは長州。高杉晋作によって見出された。
長州を出て京へ。そこで桂小五郎の庇護下となり、長州が朝敵となったと同時に、江戸へ行き、小栗上野介を斬る、という目的を遂行しようとする。乱暴に言えば謀略小説である。とは言え、通信手段もない幕末であるから、上巻が終わっても、大阪へ戻って小栗を取り逃がしたところで終わり、先は見えない。タイトルの意味も分からない(^_^;)
なお、晋介が江戸から脱出する際に重要な役割を果たすのが乞食たち。着眼点の新しさとして、山田風太郎の「乞食八万旗」とどっちが早いのかなぁ…。

十一番目の志士〈上〉 (文春文庫)十一番目の志士〈上〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 2009-02-10