思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『十一番目の志士(下)』
☆☆☆★

一番のドンデン返しは、解説にある。本作の主人公・天道晋助は作者によるフィクションだったのだ。
作中には、幕末の暗殺者である桐野利秋や河上彦斉たちとの顔合わせを始め、実在の人物たちが巧みに配置されているため、晋助のような人物がいたとしても、いなくても問題ないように構成されている。
幕末の裏側(というか1側面)を描く、という意味では役に立つ時代小説かも。
出てくる女とやりまくる(濡れ場の描写はあっさりしたものだが)というハチャメチャさは、終盤に否定的に描かれている、幕府軍のならずもの兵たちと大差ないかも。ほとんど『俺の空』みたい。
司馬遼太郎版の『無用の介』とか『ゴルゴ』みたいな作品かも。

十一番目の志士〈下〉 (文春文庫)十一番目の志士〈下〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 2009-02-10