思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

機動戦士ガンダムUC(11)』
☆☆☆★

短編集とあるが、中編2つである。
『最後の戦争』☆☆☆
福井晴敏らしい国際(宇宙世紀における)謀略もの。主要登場人物はダグザにアルベルトと、ダグザと、情報局の上官ロッシオ。シナンジュ・スタイン強奪事件を舞台にしたゲームの前日譚と後日譚を描く。強奪事件そのものは書かれていない(元々がゲームの特典として書かれてた為)という、変わった構成になっている。章題の『ビフォー・ゲーム』『アフター・ゲーム』というのも、ゲームじたいの前後の話、という以外に、強奪事件事件じたいが様々な思惑が交錯するゲームみたいなもの、という二つの意味がある。
バナージは登場せず、フロンタルもひとことふたことセリフがあるのみ。
ブライトに関しては、本格ミステリ的にはアンフェアなのだが…。

『不死鳥刈り』☆☆☆☆
こちらは、ユニコーンガンダム三号機たるフェネクスの強奪事件ならぬ逃亡事件を描いたもの。主人公は孤児院で育った少年ヨナと少女リタ。ニュータイプ研究所の強化人間や、30バンチ事件など、『Z』の影響が強い作品。ラストの砂浜が小説版『ガンダム』のラスト、その前のパイロットスーツでの漂流が『F91』など、もちろん他のガンダムとのオマージュもある(そういえば『最後の戦争』にはブッホ社が登場する)。でも、ティターンズの幹部たちが極刑になった、って話は初耳。
初めてといえば、地球に落下する以外の、通常のラグランジュポイントにあるコロニー群が地球上から見える、という描写もガンダム史上初だろう。
死んだ人間と話すのはアムロカミーユなどの珍しいことではない。むしろ、バナージには(小説版では)できなかった、彼岸から此岸に戻って来たことこそ注目すべきところ。
しかし、ヤクト・ドーガネオ・ジオングを動かすのはともかく、ネオ・ジオングをあんなに壊して、アニメとの整合性は取れてるのか…?
シーマ様信者としては、30バンチ事件の描写が『宇宙のかげろう』っぽいのが良かった(^_^;)