『利己的な遺伝子』
☆☆☆★
科学書あるいは生物学書を読めば必ず紹介されると言っても過言ではない名著。
あまりに膨大な脚注も含め、500ページを超える大作。ただし『神は妄想である』もそうだったが、似たような例が多い、数学を出さないという一般的読者向けの枷のせいかもしれないが、説明がくどい。いや、確かにくどいというと言い過ぎだが、もっと簡潔に済むでしょう?と言いたくなる。
私は利己的遺伝子論について概論知っているからそう思うだけで、当時はパラダイムシフト的な内容だから、誤解を生まないように丁寧に具体例を列挙する必要があったせい?
「近親相姦タブーは(略)近親交配によってあらわれる劣性遺伝子の有害な効果と関係があるのであろう」
劣性遺伝子とは、父母双方の遺伝子が揃った時のみ発現するもの。遺伝子的に近似した近親者では、致命的な遺伝子ペアができる可能性が、赤の他人よりも格段に高くなるからだ。
「ウィルスは、私たちの体のような「遺伝子コロニー」から離脱した遺伝子なのかもしれないということ2なる。ウィルスは純粋なDNA(あるいはこれに類似の別の自己複製分子ーーRNA)でできており(略)生物の体から体へと直接空中を旅する身の上になってしまったというわけである。この見解が正しいなら、私たちは、われわれ自身をウィルスのコロニーとみなしてもよいかもしれない。」
このあとにも説明が続くので、確かにくどい(^_^;)それはともかく、この説ならば、生命体と言えるかどうかが謎とされてきたウィルスと我々生物との関係のミッシングリンクが埋められるではないか。