思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

本田直之『ホウレンソウはいらない! ガラパゴス上司にならないための10の法則』

先に読んだ本と違って、本書は、ホウレンソウに代表されるようなルーチンワークは出来る限り、クラウドなどITを活用して自動的に、誰でもできるように簡略化していこう、というものでした。

「部下にいかに力を出してもらうか、メンバーの力をどう発揮させるかという点はクリエイティブな仕事ですが、進捗状況の確認、訪問している営業件数、スケジュール管理やタスク管理などのチェックは非クリエイティブな仕事です。」

「過去のことに多くが費やされているミーティングは、ものすごく無駄なのです。ミーティングとは本来、何かをつくり出すため、意志決定をするため、たくさんのオプションの中からどれを選ぶかなど、未来をつくっていくための議論をする場です。」

「できる2割で会社全体を引っ張っていくのはなかなか難しいため、その2割がどちらにも属さない6割の社員をうまく引っ張ってくれるような形にしたほうが効率がいいのです。」


『図書館の魔女(下)』
☆☆☆★

最初に蘊蓄はあるものの、ほとんどが、マツリカたちが三つの国の戦争を食い止める策略に費やされている。
中に、マツリカが「呪い」で手話の利き腕をマヒさせられるので、その魔術師に暗示の解除方法を聞きに行く、というついでも組み合わさっている。さんざん京極堂チックなことを言っておいて、呪いもなにもあったもんじゃないと思ったが…。
ニザムの王の描写は、漢字の書が出てきたりと、架空の地図まで載せているファンタジーのくせに、まんま支那のそれ。
戦記ものとしては、疫病にかかったものたちの軍団、というアイデアが独創的だった。さすがにこれはファンタジー世界に留まっていてほしいトンデモ戦術である(°□°;)
ミステリーとして、だいたい2つの仕掛けが施してあって、本格ミステリ・ファンタジーとしてフェアかというと微妙だが、面白いツイストになっている。
もうちょっと蘊蓄優先の、静的な話が読みたかったなあ…。

どうしても気になったのが、修辞は完璧なのに、小説作法がおかしいこと。上巻感想で指摘した以外に、同一人物の名前「ヴァーシャルヘイ」と「ヴァーシャ」が地の文で並行されていたり。なぜ編集・校正で直さない?それとも別人だとか、隠された意味があるのか?

図書館の魔女(下)図書館の魔女(下)
高田 大介

講談社 2013-08-09