思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『カード・ウォッチャー』石持浅海
☆☆☆☆

まず、サービス残業が常態の会社研究室に、労働基準監督署がやってくる、というのが共感を誘われる(^_^;)
本当は、上司たちの嘘を、どう監督署員たちが見破るか、という中編が読みたかったが、本作では、監督署員の訪問直前に倉庫で死体が見つかる、という余計な死体隠蔽工作が加わる。
もちろんそれもテーマに沿った理由があるのではあるが…。
また、死体が監督署員にバレるのが終盤と言っていい時期なので、最近の西澤保彦とかなら、そこから同じボリュームで捜査&推理を展開し、結果として本作の倍の厚みになったことだろう。が、本作では必要最小限の手数で真相に至るのが良い。このあたりは同じ作者の『うんこ殺人』…じゃなくて何だっけ…に近い構造。


『消費税は民意を問うべし』小室直樹
☆☆☆☆

再読。

「税金の審議こそ議会の最大の仕事である。(略)その税制審議を拒否すると言うのだから、これはもう議会政治の死である。(略)そんなことを、野党がやらかす。(略)一度前例が確立されると、それが憲法の一部になる。それが、憲法と言うものなのである。
前例が慣行化される事は、条文の改正ほどにも重大なのである。」