思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『皇帝の新しい服』石崎幸二
☆☆☆☆
講談社ノベルス

表紙がラノベ風イラストになっているが、中味はおなじみ石崎幸二シリーズの最新作である。
舞台が錠前島と館島という二つの島なので、一瞬『館島』とのリンクか?と期待したが、『館島』は東川篤也でした(^_^;)ゞ
二つの島を股に掛けて行われる、戦国時代あたりから行われている儀式。30年前くらいから、その最中に失踪・殺人などが起きているのだが、そのお見合いの儀式に石崎幸二が誘われることに・・・。
三津田信三なら400ページはかけるであろうお膳立てだが、石崎幸二は190ページできっちりまとめてみせる。
このシリーズの裏設定はDNA鑑定シリーズらしく(?)終盤になってそのへんが前面に出てくる。
作中で「このシリーズはメタは禁止」と言っているのだが、シリーズの過去の事件に触れることで擬似的にメタっぽい趣を醸し出しているのが巧みなところ。
「死んだ。完全に死んだな。ホラー映画でおっぱいの大きな女性が真っ先に死ぬくらい確実だ。」
これは荒木ゼリフ「コーラを飲んだらゲップが出る、っていうくらい確実じゃあー!」に匹敵する名ゼリフだ(^_^;)
このほかにも死亡フラグに関するネタが上述のメタっぽい趣で楽しい。