当時画期的だった週刊OVA（いまでもなお、空前絶後の偉業かも）で知っていた『銀英伝』だが、いかんせん長いし、ほんとに面白いか懐疑的だったので今まで避けて来た。
読んでみると、ちゃんとSFしてるし、政略、戦略的にしっかりしていて、基本はスペースオペラなのだが、ラインハルトとヤンを中心とする登場人物たちのドラマと『ファウンデーション』的な長期的歴史的視点という、ミクロとマクロがうまくブレンドされている。
特に地球の戦争史からの警句を作者が深く調べて書いているのがちょこちょこと出てくるのが読みどころといえる。
軌道力学なんかはほぼ無視されているが、ハードSFじゃないし、戦国歴史もの的なスピード感を損なわないことを考えると、逆にこれくらいでちょうどいいのかもしれない。
 | 銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫) 田中 芳樹 東京創元社 2007-02-21 |
