思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

韓国人の呉氏と日下氏の対談。
そのへんの日本人より、はるかに日本文化に理解のある呉氏だが、石平氏と違うのは、呉氏はあくまでも優等生的というかジャーナリスト的に勉強している、というようなところだろうか。悪意をもって言うなら優秀なスパイのそれに通じるのかも。
ま、それはともかく、日本人も気がついていない日本の特徴を知るきっかけにはなる。日下氏が一歩引いた視点で解説しているのも大きな特徴だ。
日下氏による、中国脅威論の解説。「一般国民は、そんなこと心配してませんよ。新聞にはバカが集まっているのです。日本でいちばんバカなのは、新聞記者と学者なんですから(笑)。あの人たちは、日本人の代表ではありません。」
ヨン様ヨン様と浮かれている人には呉氏のこんな事実の指摘も。「韓国人男性が、「ヨン様」的な態度を示すのは「きれいな恋愛時代」だけのこと。性関係を結ぶか結婚するかした途端に、ガラッと態度が変わるのが韓国人男性なんです。早い話が、「もうお前は俺のものだ」ということで、生来の男尊女卑的な性格が一気にあらわになります。“韓流”で騒いでいる女性たちは、そのことにまだ気づいていないんでしょうね。」
これも別の見方をすれば、別に日本の男性アイドルだって、ファンは一方的に騒いでいるだけで、性関係を結びたいとか、実際に結べるのは0.1%未満だろうから、別に関係ないともいえる。

日本の文化力が世界を幸せにする日本の文化力が世界を幸せにする
日下 公人 呉 善花

PHP研究所 2004-12-02

実に感想を書きにくいタイプの作品だ。
カバーに描かれているように、異星人の宇宙船がやってきたりはするのだが、これといって凄いスペクタクルやカタルシスがあるわけでもなく、指輪を捨てに行ったりする大冒険があるわけでもない。
…いや、いちおう海に潜ったりはするが、視点人物が4〜5人いて、すぐに場面が変わってしまうのでけっきょくのところどこにも感情移入できないのだ。だからカタルシスが弱い。
かといって異世界の描写がとことん細かいか、というとそうでもなく、でもSF小説として描写が物足りないとかヘタ、ということもない。文句なくハマる、面白い、ということはないのだが、挫折本入りさせよう、というほどつまらなくもない。ほんとに読書感想文泣かせの作品だ。
その要因は、あとがきにあるように本作が3部作の1作めではなく、大長編の1、2巻どころか前半に過ぎない(本作だけで起承転結が整っていない)こともかなり大きいと思う。
ドワーという登場人物が、何度見ても「ドワーフ」に見えてしょうがなかったのには困った。

変革への序章〈下〉 知性化の嵐〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)変革への序章〈下〉 知性化の嵐〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)
デイヴィッド ブリン David Brin

早川書房 2001-09