思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『シンギュラリティ・コンクェスト』読了

山口優
☆☆☆★
徳間文庫
私より5歳も歳下ながら、東大大学院卒の新人作家の作品。(これだけ高学歴のSF作家は日本では珍しい?)
宇宙が紫色になるという魅力的な導入や、人間の主人公がイスラエルの女軍人であるなど、掴みはばっちり。
だが、量子コンピューターの対称的な2体が、機械と美少女型アンドロイドであるなど、ラノベセカイ系の危惧がプンプン…。
結論からいうと、クライマックスまではギリギリ普通SFだが、ラストバトルの会話が陳腐というか凡庸でガックリ来た。このあたりがイーガンとの差なんだなあ…。そこに至るまでは『ヴァーチャル・ガール』みたいな感じかな…?とそれなりに納得して読んでいたのだが…。(いちばんイメージが近かったのが『狂乱家族日記』だったのは内緒。要するにラノベに氾濫するツンデレ美少女もののそれと全く同じ)
物語構成的には、クライマックスのどんでん返しに関するエピソードが唐突に出てくるのに仰天した。これは本来伏線として序盤に置いておくべきものだろう。