思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

バーでヤクドシトリオと東子さんが懐メロ話をしながら(するのはトリオだけだが)、東子さんがトリオからのボケ&ツッコミをかわしながら神話にからめた謎解きをするシリーズ。
80年代までの懐かしいネタの数々は、今回はジャンルを限定していないので、「科学」と「学習」からお笑いまで幅広く、30代以上の人なら笑えることうけあい。
ギリシア神話にこじつけての謎解きは、本格としては物足りないが、どれもいちおうは意外性もあるので、ライトミステリーとしては満足の小品。
はたと膝を打った(これまた古い表現?)はパンドラの箱についてのくだり。
『「(略)その箱を開けてしまうのだ。結果は、その箱から、ありとあらゆる悪が飛び出し、地上に満ちてしまった。(略)慌てて箱の蓋を閉じる。中には、たった一つだけ残ったものがあった。(略)希望さ。」
「(略)希望はまだ箱の中にあってフタ閉めちゃったんだから、世の中には希望はないんじゃない?」』
確かに、希望はないよな(^_^;)

今宵、バーで謎解きを (カッパ・ノベルス)今宵、バーで謎解きを (カッパ・ノベルス)
鯨 統一郎

光文社 2010-04-20

今回のテーマは征夷大将軍坂上田村麻呂アテルイ
勝者と敗者の逆転の構図はもう馴れたので割愛。ネタバレでもあるし、設定を聞いただけで高田作品の愛読者はわかるでしょ?
それよりもこのシリーズとして、『母を訪ねて三千里』で毎回ひっぱるのかと思いきや、大きな転換となった。諒司に会うは、実は婚約者が内通者だわ、諒司は敵?だとか…。
さらにシリーズタイトルのカンナが、古語で「天・空・竜」を意味する言葉、ということも明かされる。
ストーリーとは直接関係ないが、最初に出てくる会話が面白い。
「やはり天皇家はすごいね。血統が途切れている途切れてないという話以前に、こんなに長い系図を持っている家は、世界でも珍しいんじゃないか」
しかし、グーパンチの活躍のせいもあるが、このシリーズが<迷犬ルパン>シリーズとダブってしょがない。

カンナ 奥州の覇者 (講談社ノベルス)カンナ 奥州の覇者 (講談社ノベルス)
高田 崇史

講談社 2009-07-07