インチキちゃうん?というくらい会話の改行が多いのが気になるが、中身じたいはコメディ・ミステリーという感じで面白い。
裏表紙アオリにあるように「大傑作」ってほどではないとは思うが…。
伏線があって…という本格ミステリーというより、軽めの伏線と、軽妙なオチ、というテイストの連作短編集だ。
主人公は泥棒というか、裏稼業の人間で、逢坂剛が書きそうなくらいあくどいこともやっているのに、それほど重くないのは全体のトーンが調整されているらだろうか。
「現代国語という科目が滑稽に思えて仕方ない。少なくとも、詩や小説を題材にして教えるということに関しては、絶対におかしい。(略)そもそも、文学作品や小説、物語は、考えたり説明したりするために味わうものではない。まず楽しんで、次に解釈−−それも自由な解釈をしてこそ意味があるのだ。