思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

オーディオ・コメンタリー/音声解説

DVDの大きなウリの一つ、音声多重収録/選択を使った音声解説。
誰が考えたのかは知りませんが(特許をとっておけば大もうけできたかも)、素晴らしい発明だと思います。
メイキングなどの作品の裏側を知りたい私はにとっては大好きで、DVDを買う場合の半分は音声解説目当てといっても過言ではありません。(レンタル専用でも、作品によってはついているのもありますが)
ただ、当たり前の話かもしれませんが、これにもけっこう当たりはずれがあるようです。
好き嫌いもあるかもしれませんが、音声解説の善し悪しを決めるのは、

  1. 監督
  2. 出演者
  3. スタッフ
  4. 三者
  5. 聞き手

という五つのポイントが基準になるかと思います。
まず、監督でないと演出意図、それに到る経緯などが語れません。監督が担当する音声解説がベストです。
出演者が語ると、俳優の舞台裏や、監督の指示などが分かります。メイキング的な観点からはあまり得るところはないことが多いのですが、まあ映画雑誌等のインタビューの延長、という感じになることが多いです。
スタッフの場合は監督に準ずる内容で、昔の作品で監督が亡くなっていたりする場合にこうなっていることが多いようです。これに限らず、昔の作品ほど音声解説としては面白くないものが多いような気がします。
三者というのは、評論家、研究家などで、これも古い作品に多くなります。「ナウシカ」の庵野秀明もスタッフとはいえ、ほとんどこのタイプになりそうな気がします(まだ聞いたことはないのですが)。
最後に、聞き手の問題も大きいです。特に監督が一人で喋るような場合、饒舌な人ならいいですが、元々喋る商売でもないので、聞き取りにくかったり、間が空いたりするので、どうしても聞き取りにくいことも出てきます。分からないでもないですが、何故か全てリアルタイムの一発収録のようなので、トチるとそのままなのです。うまく話を引き出したり、リードする聞き手の存在は重要です。
ちなみに私が一番好きなのは東宝特撮映画の音声解説の大部分を担当している倉敷保雄氏。なんといっても声が最高ですし、マニアっぷりも充分(そのジャンルの作品に精通しているというのは重要な要素です)。
何故か女性の聞き手というのは聞いたことないのですが、この情報量という要素がネックになっているのでしょうか…。資料さえ充分揃えれば務まらなくはないと思うのですが…。やはり女声のほうが聞きやすいですし、DVD制作会社には検討してほしいものです。