思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

逆説の日本史(28)

井沢元彦
☆☆☆★
小学館

ちょっとくどいかな……。連載をほぼそのまま掲載しているのか、章が変わるごとに前章のおさらいをしている部分とか、単行本化にあたっては、カットしたほうが、読みやすく、かつわかりやすくなると思う。

「補給には強壮な馬が欠かせない(略)このことは乗馬をたしなんでいた明治天皇も痛感したようで、(略)どの省庁にも属さない独立した馬政局という行政組織が作られた。(略)「公営ギャンブル」でもっとも古い歴史を持つ競馬は、日本においてはそもそも軍馬の改良を目的地として始められたものだった。」

「民間の軍国歌謡(略)「皇軍に感謝の歌」(略)一番に「泥水すすり草を噛み」とあり、二番には「十日も食べずに、いたとやら」とある。つまり、最前線への補給が全然できていなかったと言っているわけだ。ほかの国や軍隊ならば当然「我が軍の兵站は安定している。前線の兵を飢えさせることなどあり得ない」と主張し、こうした歌が発表されることに難色を示すだろう。しかし、陸軍がそのような抗議をした形跡は無い。」